RPAツールの導入で失敗する原因は?費用対効果をチェック!

RPAツールの導入で失敗する原因は? RPA・プログラミングを学ぶ

RPAを導入したけれど、うまく活かせていない。乗り換えを考えている。という声をよく聞きます。でもちょっと待ってください。RPAに任せたいと思っている業務は、果たして自動化が適切でしょうか。業務を作業レベルに分解して考えてみましょう。

RPAに任せる予定の業務を見直してみる

RPAが得意とするのは、

  • 手順が決まっていること
  • 毎日繰り返し行うこと

この2つ。

そうです、とっても単純な仕事が最適なのです。RPAはロボットですから、指示されたことしかできません。そのため、「RPAに覚えさせる動作の指示が正確であること」が重要になってきます。

まずはRPAに任せる作業範囲をチェック

具体例として、店舗からの売上管理と報告業務を例にみてみましょう。

集計担当者には、各店舗からメール添付で毎日の売上報告が届きます。担当者は全部の店舗分を集計し、報告用エクセルに転記、全社売上報告書を完成させて経営者にメールして作業は終了です。この業務、どの部分をRPAに任せることができるでしょうか。

業務を作業レベルに分解

作業 1

■ 各店舗から送られてくる売上報告が間違っていないか確認
→メールを開いて添付ファイルをダウンロード、ファイルを開く
→不備がないか目視でチェック
→不備があったらメールにて修正を依頼

作業 2

■ 売り上げの報告書を作成する
→RPAがメールを開いて添付ファイルを保存
→ファイルを開き、集計用ファイルにコピペする
→保存し、ファイルを閉じる

作業 3

■ 報告書をメール送付する
→新規メールを開き、定型文をコピペ、報告書を添付する
→メール送信する

RPAに任せられるのは「作業2」と「作業3」です。

作業1には、添付ファイルのチェックがあります。たとえば、「ファイルに記載されている値が他の資料の数字と合致しない」など、人の記憶を元に判断する場合、RPAでは対応できません。RPAも、ルールに沿ったチェックをすることはできますが、考え込むような判断で作業の変更が伴う場合は、人が行わなければなりません。

作業2と3は、作業に人が考える要素がなく、決められた場所をコピーして決められた場所にペーストするという定量作業で完結できるため、RPAに任せることが出来そうです。

このように、RPAは「自分の仕事」に対して厳格です。業務を理解した人がRPAを作成すれば整理が早く、できあがったものの仕様も間違うことはありません

この作業はどんなRPAツールが向いている?

この業務を分解すると

  • メールの受送信
  • コピー&ペースト
  • ファイルを開く動作

この3つを行っていることがわかります。

現場の個別業務であること、作業量もさほど多くない。この条件も踏まえると、デスクトップ型RPAツールが該当してきます。デスクトップ型RPAは1台ごとにインストールするので、現場主導で運用を行っていく今回のケースにはピッタリです。

費用対効果の考え方

自社にピッタリなツールを選んだはずなのになぜか費用対効果が出せない、この悩みを抱えるケースは意外と多いようです。

RPAの作成と変更はどの部署がやるのか
費用対効果の出し方

RPAの導入は、非効率業務の改善や人手不足・人件費のカットが目的です。RPA導入によって、どれだけコスト改善できるかを計算してみましょう。

たとえば、年収600万円の人材が行う作業をRPAで月に10時間削減した場合、年間約40万円のコストカットとなります。

年収600万の人材の作業1つをRPAに変更した場合。月、時給約3,300円×10時間=33,000円の削減。1年で約40万円の削減

これはあくまでも1つの作業または1つの業務での金額です。

繰り返しになりますが、RPAの得意分野は定量作業と繰り返しが必要な作業。1人の人材の業務の中でも、小さな範囲を代行させているにすぎません。ということは、費用対効果を出すためには、自動化できそうな業務はどんどんロボに任せる必要があります

費用対効果を出したい!と思うなら、

  • 小さな作業からロボにどんどん任せていく
    →ちりも積もれば山となり、自動化の恩恵を実感できる。大きな業務を想定して費用対効果を考えないこと
  • 多くの作業を任せるため、ロボの量産が必要
    →短期間で量産できるスピードが重要
  • 導入には毎月サポート料金も考慮する必要がある
    →初期費用や教育費用だけではなく、保守費用(技術サポートやロボ作成サポートなど)

これらを押さえておかないと「人を雇った方がコストダウンになった」という結果になるかもしれません。また、作業自体は単純でも、RPAに向いていないものもあります。

作業は簡単だけれど費用対効果を出せるか微妙な業務

  • 作業の変更が多い
    変更のたびにRPAの作業指示設定を書き換える必要がある
  • 継続予定のないスポット案件
    時間をかけて作業指示を作っても、単発使用では費用対効果が出ない
  • 処理のパターンが多く複雑
    フォーマットの数や分岐が多いなどの複雑な作業は、実装してからのメンテナンスが大変

PCの単純作業にロボは必須、という時代を迎えつつある昨今。RPAを上手に使って業務改善を行うなら、

  • RPA導入に見合うだけの定量仕事があるか
  • RPAでどこまでの自動化を目指すか

この2点を踏まえて、業務を作業に分解してから検討してみることをおすすめします!

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