中小企業におけるDX推進の事例とは。初心者向けに多店舗管理の効率化を解説

多店舗経営の売上管理を効率化 RPA・プログラミングを学ぶ

多店舗の売り上げを集計する作業が大変すぎて、多くの時間を割かなくてはならない。毎日蓄積されるデータを活用しきれていない。など、多店舗経営の売上管理で悩んでいませんか?

このコラムでは、コストや時間、手間を最低限に抑えながらもDX推進につながる方法をご紹介します。

単純だけど面倒で時間がかかる集計作業をなんとかしたい!

複数の店舗を展開していると必ず発生する売り上げの集計作業。1店舗から2店舗になっただけでも、管理は大きく変化します。なぜなら、同じ作業が倍になるだけでなく、合算という新たな集計作業が入るからです。たとえば、その日の売り上げ管理をしようとすると、A店とB店それぞれの店舗の売り上げを集計してから合算しなくてはなりません。

多店舗経営の売り上げ集計

A店とB店で別々に集計を行い、誰かがそれを合算する。(かかる人員は2人~3人、1つの作業を2人で1回ずつ、合算作業を1回、合計3回の作業が必要)

もしくは、A店とB店の売り上げを誰かが1つ1つ集計(同じ作業を2回)し、合算する。(人員は1人、同じ作業を2回と合算作業を1回、合計3回の作業が必要)

A店とB店で別々に集計を行い、誰かがそれを合算する作業
A店とB店の売り上げを誰かが1つ1つ集計(同じ作業を2回)し、合算する作業

1店舗の売り上げ集計

AA店の売り上げを集計。(人員は1人、1つの作業を1回)

1店舗の売り上げ集計に、人員は1人、1つの作業を1回する

その日の売り上げ作業を分解すると、これだけ人員と手数の差があります。

1店舗の時にスムーズにできていたのは、シンプルな作業をシンプルなシステムでこなしていたからです。売り上げの計上を完成させるために必要な人員も複数になり、手数も複数になったのであれば、リアルタイムで情報が得られて、複数で入力・確認ができる仕組みに変えたほうが効率化できます。

TIPS 1同じ作業を繰り返し行うなら人の手よりもロボ

店舗の数だけ同じ作業が発生する売上報告のような業務は、RPAでの自動化が向いています

RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック プロセス オートメーション)のこと。言葉を分解すると、ロボットで作業を自動化する、という意味になります。ロボットとは、業務を人の代わりに行うソフトウェアのことです。

RPA(ロボット)は、
「AシートのB列をコピーして、CシートのD列貼り付ける」
このような単純作業が得意です。

RPAが得意なこと

手順が決まっている作業
繰り返し行う作業

RPAは、指示した作業を手順(シナリオ)通りにやる、という働きをしてくれます。人と違うのは、

  • 横道に反れた解釈をしない(たとえば、記入個所を間違えていたら数字を拾わない)
  • 指定された時間に開始・終了する
  • 作業の途中で作業のカスタマイズをしない(たとえば、作業の途中で不要な処理を削る)

ということです。

ロボットができること

■ マウス操作
指定された座標や画像のクリック、マウス押下、ドラッグ&ドロップ、カーソル移動など

■ キーボード操作・文字列操作
コピー&ペーストや決まった文字列のタイピングなど

■ アプリケーション操作
アプリの起動、ウインドウ切り替え、ウインドウのクローズなど

■ その他
フォルダ内検索、画像位置の検索、フォルダの移動や名前変更、一定時間の待機、クリップボードへのコピペなど

ロボットができるのは、「PCの操作」です。

ロボットに指示を出すには、PC作業のシナリオを作成する必要があります。たとえば、まずエクセルファイルAをダブルクリックで開いて、A列C行目をコピー、エクセルファイルBを開いてB列D行目にペーストする、というように、普段PCを操作している動作を順番に指示していきます。

RPAへの動作指示は現場で作業している人が一番適しているといわれるのはこのように具体的に細かな指示が必要であるためです。

また、難しいプログラム言語を使わなくてもRPAへのシナリオを作成できるRPAツールも存在しています。システム部門や専門家の手を借りずに自分たちで設定できるという点は導入の際の利点と考えられます。

毎日蓄積される売上データ。 分析のための再集計を減らしたい

売上管理は、文字通り売り上げを日々記録して分析する業務です。

基本的に毎日集計するので、データはどんどん蓄積されます。この記録により、売り上げの少ない日や多い日の確認ができ、売り上げ変動の原因や予測を立てることができます。さらにその結果を使って、月、四半期、年などの期間を設定した目標の設定を行います。

売上管理とは

  • 毎日の売り上げ記録
  • 記録の分析
  • 期間を設定した売り上げ目標の設定

売上管理には、売り上げをただ記録するだけでなく、その先の重要な作業(分析や目標の設定)までもが含まれている

毎日のデータを利活用して行う売り上げ分析は、「最近売れている商品」や、「期間限定で行った割引の効果」を知ることができるので、今後の施策アイディアを考えるときに役立ちます。

売り上げ分析をする3つの目的

  • 売り上げを増やすため
  • 経営現状の把握
  • 今後の戦略作り

売り上げ目標を達成するためのアイディアを捻出する仕事は、まさに経営側の役割です。行った施策の効果を可視化するために、別の角度からの視点を得るためにデータを再収集・集計する作業が発生することも多々あります。実は、分析においていちばん時間がかかるのが、この収集と加工の作業です。エクセルで整理している場合は、ファイルを一つひとつ開いて、コピぺする作業が必要になるかもしれません。

また、分析に使用する日々の売り上げデータは、他にはない組織のオリジナルデータのため、とても重要度が高い「守るべき財産」です。毎日蓄積されるため、データが膨大になりやすく、多角的な分析をおこなうために取り出しやすくしておかなければならなりません。

TIPS 2貴重なデータの蓄積はデータベースが最適

エクセルやGoogleスプレッドシートで作られたデータの集合体と、コンピューターで実現されるデータベースは何が違うのでしょうか。

データベースはデータベース管理システム(DBMS)というコンピューター上のデータベースの整理やデータの検索、更新、共有などを行うソフトウェアにより動いています。わかりやすく例えると、データを入れる大きな箱があって、その中でデータを仕舞ったり取り出したりしてくれるスタッフが常駐していて、注文に沿ってデータを用意してくれる。こんなイメージです。

データベースのイメージ図

データベースは、少し前までは、社内にサーバーを構築するオンプレミス型が一般的でしたが、現在はインターネット上にデータベースを構築するクラウド型が人気です。

これまで、エクセルなどファイルで管理していた情報がデータベースで一元管理でき、リアルタイムに複数で共有・書き込み、分析などデータを活用することができれば、迅速な意思決定が可能になります。そして、業務の改善と時間の短縮が同時にかないます。

クラウド型データベースの特長

  • 散らばっているデータを一元管理できる
  • 多人数で同時入力ができる
  • 大量のデータを蓄積できる
  • 壊れにくく復旧しやすい
  • 取り出しやすく(検索できる)、共有できる
  • サービス提供元がセキュリティ対策もしてくれる

データの管理方法が変わると、業務も自然と変わってきます。データベースの目的は情報保管ではなく、データの有効活用です。売り上げ管理で蓄積されたデータがこれまで以上に利活用できるようになることは、DX推進の第一歩にもなるでしょう。

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